公開日
2016/06/24
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EDの症状を自覚して治療を思い立ち、実際に通院する患者はどのくらいいるのでしょうか?

1998年に行われた調査によると、国内のED患者数は約1130万人(日本臨床:200-,2002)です。このうち、実際に医療機関を受診する患者は約54万人。これだけ多くの男性がEDで悩んでいるにも関わらず、実際に病院に行く患者はわずか4.8%です。

「EDで病院へ行くのは恥ずかしい……」「スタッフに女性はいるのかな?」などといったことが気になり、病院へ行けないED患者も多いのでしょう。

この記事では、そんな「◯◯だから病院に行くのは嫌だ」というあなたに、ED治療の実際の流れから、通院のメリットを紹介します。ED治療によくある誤解も解消します!

ED治療の流れについて

ED治療の病院を探す

インターネットを使えば、ED治療を行っている病院を簡単に探せます。ED治療を行う病院を集めて紹介するサイトなどから、自身の希望にあった病院を選びましょう。

あなたが「手間をかけずとにかく簡単に治したい!」と思っているのなら、ED治療薬の処方に特化した「ED治療専門のクリニック」がおすすめです。逆に「検査で原因を突き止めて、根本から治療したい」のなら、治療法や検査機器などの設備が整った「規模の大きい総合病院」の方が高い満足度を得られるでしょう。

基本的にED治療は健康保険の効かない自由診療です。診察に保険証は必要ありません。健康保険未加入の患者でも、加入者と同じ価格でバイアグラなどのED治療薬が購入できます。

ED治療薬の価格は病院ごとに異なるため、事前に病院のホームページなどで処方価格も調べておくとよいでしょう。

受付ではどんなことをするの?

病院の受付では、一般のクリニックと同様に、ED治療を希望していることを申し出ます。

ED治療の専門クリニックなら、「来院する患者はすべてED治療薬を希望している」とクリニック側も分かっているため、自己申告をせずとも待合室まで案内してくれます。

待合室では問診票を渡され、自身の症状を記入します。問診票に書かれていることはEDの簡易チェック程度の内容のため、5分もあれば記入できる内容です。

問診票の提出が終われば、あとは名前を呼ばれ診察室へ通されるのを待つだけです。他の患者とのプライバシーを考慮して、名前ではなく番号で呼んでくれるクリニックもあります。

「受付」「問診票」「入室」など、診察前の流れに不明な点、不安がある方は、気になったクリニックのホームページを実際に確認してみるとよいでしょう。

どのような検査・診察が行われるの?

EDの診察では、一般的には問診のみ行われます。問診では、勃起ができない状態の程度などが質問されます。実際に陰茎を見せる視診、陰茎に触れて状態を確認する触診といった検査はありません。また、EDが精神的ストレスになっている方は、悩みや心配事を医師に相談することもできます。他人に話すだけでも精神的に楽になり、勃起が改善する場合があるので、医師に話を聞いてもらうのもよいでしょう。

勃起不全の状態が重い患者は、必要に応じて血圧や脈拍の測定、血液検査や尿検査、心電図測定などを行います。

医師は、問診の結果からED治療薬を服用できるかを判断します。ED治療薬が服用できる患者には、薬の説明が行われます。ED治療薬だけでは対応できない、重度の障害が見られるといった場合には、別の治療法や医療機関を紹介されることもあります。

どこでED治療薬をもらえるの?

医療機関によって異なるものの、ED治療の専門クリニックでは、ほとんどが院内でED治療薬の処方を行っています。なかには、男性患者の気恥ずかしさに配慮して、診察室内にて男性医師が直接手渡す診療所もあります。

院内処方は小さな診療所や専門クリニックに多く、総合病院などの規模の大きい施設ではまちまちです。院内に併設する薬局か、調剤薬局で受け取る院外処方で対応しています。

会計も処方と同時に行います。ED治療薬には健康保険が適用されないため、診察費、検査費、薬剤費はすべて自己負担となります。

詳しいED治療・診療方法

問診票は、主にEDの症状について詳しく説明する項目と、EDになった原因を探る項目の2つで構成されています。

問診内容

問診では、IIEF-5と呼ばれる診断手法が多くの病院や診療所で使用されています。

IIEF-5の元になった指標は「国際勃起障害指標 (IIEF) 」です。IIEFは、EDの専門家として著名なレイモンド・C・ローゼン博士の研究チームによって開発された、EDの症状を判定するための指標です。バイアグラの臨床試験において有効な指標となりました。

問診票では15項目の質問に対して回答し、加算された点数の合計値によってEDの症状を判断します。IIEF-5はこのIIEFをベースに改良したものになります。またIIEF-5と同様にIIEFをベースとしたSHIMという診断手法もあります。

また、 喫煙など日頃の生活に関する質問や、持病についての質問も用意されています。

こうした問診を通して、EDの原因が生活習慣病なのか、持病なのか、他の病気なのかを探っていくのです。

クリニックでのED問診票

勃起を維持する自信の程度は?性的刺激による勃起の場合、何回挿入可能な勃起の硬さになりましたか?といった質問が記載された問診票が渡されます。

参考資料:ED問診票 / 菊池クリニック:PDFを参考にしました。

EDの治療方法

ED治療の方針は、大きく分けてふたつあります。

ひとつが必要最低限の問診や診察でED治療薬を処方するシンプルな治療法。もうひとつが日本性機能学会が発行するED診療ガイドラインに沿ったより綿密な治療法です。

シンプルな治療法

シンプルな治療法は、ED治療の専門クリニックが取り入れる治療方針で、ED治療薬の処方を希望する患者に、より早くより安くED治療薬を処方するという方針です。

  1. 問診票に記入する
  2. 医師の診察を受ける
  3. 薬が処方される

患者の利便性を高めるというポイントに特化しているため、受付から処方までの時間が10分以内で完了する医療機関もあります。

より綿密な治療法

より綿密な治療法は、総合病院や大学病院などの医療機関で採用されている治療手法です。医療設備や入院設備が整っており、泌尿器疾患を施術する医師が属しているなど、より高度で専門的な治療が行えます。EDの症状が重度な患者に最適な治療方針です。

最初に行われる問診、血液検査やホルモン検査、心電図や血圧測定などは診療所と同じです。

ここから、ED治療薬を使ったシルデナフィルテストで、成分に対して陰茎の反応が良いか悪いかを判断します。反応が良好であれば治療は終了です。他の薬剤との飲み合わせの問題でシルデナフィルテストが受けられない患者、シルデナフィルテストを辞退した患者は、夜間の勃起の有無(NPT:夜間陰茎勃起現象)から判断します。

シルデナフィルテストと夜間勃起までで反応があれば、心因性ED(機能性勃起障害)と判断されます。反応が悪い場合は器質性勃起障害と診断されます。

ED治療で最も優先して行われる手法は、ED治療薬による内服治療です。医療機関では、まずシンプルな治療法を試し、改善が見られない場合に限って、より綿密な治療法に移行します。

ED患者に対する診察手順

AVSS:視聴覚性的刺激NPT:夜間勃起DICC:陰茎海綿体造影

心因性EDの治療方法

心因性EDは精神的なストレスによって起こるEDです。ストレスをもたらす要因はさまざまです。仕事やパートナー(妻や彼女)との関係うつ病が原因になることもあります。

心因性EDと診断されたあとの治療の流れ

心因性EDの患者には、心療内科的、精神科的な心理療法(サイコセラピー)が行われます。いわゆる「カウンセリング」で、心理テストを用いてEDの原因を特定するのです。その結果をもとに、「現実心因性ED」「深層心因性ED」か判断します。

現実心因性EDは、非分析的心理療法(カウンセリング、再教育治療法、暗示療法ほか)に進みます。また深層心因性EDは、分析的心理療法(精神分析、簡易分析、ゲシュタルト療法ほか)で治療していきます。

非分析的心理療法を受けたあとは、セックスカウンセリング、パートナーとペアで行うセックスセラピー、個人心理医療に進みます。分析的心理療法を受けたあとは、個人心理医療に移ります。その後はセックスカウンセリングか個人心理医療で治療を続けていきます。

器質性EDの治療方法

器質性EDは、年齢による身体機能の衰えや、生活習慣病などによって起こるEDです。血管の動脈硬化、神経系の障害など、勃起に関連する器官の老化が原因で起こります。

器質性EDと診断されたあとの治療の流れ

ICIテストは、血管系の障害を判断するために、陰茎に薬剤を注射するテストです。ICIテスト(ファーマコテスト)を行い、反応を5段階に分けて判断します。血管系の障害が原因と判断した場合、原因が動脈なのか、海綿体なのか、静脈なのかを追求します。カラードプラ検査で血管を特定して、症状に最適な治療を行います。

処方されるED治療薬について

病院では、バイアグラ、レビトラ、シアリスという3つのAGA治療薬の中から、いずれかを処方されます。

ED治療薬のパンフレット

医師は薬の使用方法をバイアグラ、レビトラ、シアリスのパンフレットを使って説明します。院内処方ならすぐに薬を購入できますが、院外処方の場合は処方箋を持って薬局まで行く必要があります。

EDの専門クリニックの多くは院内処方です。調剤薬局に行くことが恥ずかしい方は、事前に院内処方か院外処方を確認しましょう。

病院のED治療に関する疑問や誤解

ここからは、勃起不全の治療と病院に関する素朴な疑問、ありがちな誤解について解説していきます。

何科で診断するの?

病院に行ってEDを治そうと思い立ったとき、何科を受診すればいいの?といった疑問が浮かぶと思います。

あなたが初めてED治療に取り組むなら、泌尿器科に行きましょう。しかし泌尿器科は内科や耳鼻科と違い、普段あまりなじみがないため、行く前は不安に感じてしまいますよね。

泌尿器科は、腎臓や尿路、生殖器の疾患を対象に治療を行う診療科です。このため泌尿器科は、陰茎の疾患(勃起不全)に対し専門的な知識を持っています。

泌尿器科で治療できる疾患には、下のようなさまざまな症状があります。

  • ED(勃起不全)
  • 尿路結石
  • 男性不妊
  • 排尿障害・前立腺肥大症
  • 前立腺炎
  • 慢性肝臓病
  • 泌尿器のがん
  • 男性更年期障害

診断費用について(保険適応について)

ED治療薬の処方には健康保険は適用されません。すべて自由診療になるため、診察代や薬代は自己負担になります。

ED治療薬が保険適用外となっているのは、厚労省の方針によるものです。厚労省はED治療薬の処方に対して、「ED治療薬は生活の質を向上させるもので、病気を根本的に治す薬ではない」という見解を示しています。

大声は上げづらいものの、EDに悩む男性にとって、治療費の全額負担は頭の痛い問題です。この問題を解決するため、ED治療薬が低価格で購入できる、個人輸入代行を利用する男性もいます。

病院に行くと看護婦や他の患者に自分がEDと知られるのが恥ずかしい

あなたはEDの診察に行くのが恥ずかしいからと、病院に行かずひとりで悩んでしまっていませんか?

バイアグラの処方が解禁された2004年当時ならまだしも、ED治療薬を取り扱う医療機関が増えた現在は、恥ずかしい思いをせずにEDの診察が受けられます。

ED治療の専門クリニックでは、男性医師と男性看護師だけ、スタッフは男性のみというクリニックが存在します。他にも、診察室で待つ男性医師以外のスタッフとは一切顔を合わせずとも診察が済むクリニックもあります。

「男性器に関する悩みだから恥ずかしい」「女性スタッフがいたら恥ずかしくて行けない」という患者に対して、さまざまな方法で心理的な壁を取り除くよう配慮するクリニックは少なくありません。

医療機関によるものの、ED治療は自由診療のため、申告する個人情報は患者自身の氏名程度です。あまり褒められた行為ではありませんが、極端な話、匿名でも受診できるのです。

ED治療の際に検査で触診されたくない

EDの診察は、基本的に問診のみで行われます。陰部を見せたり触られたりといったことはありません。あなたが記入した問診票から、医師が現状を把握します。

治療法はED治療薬の処方がほとんどです。診察の後、薬剤の説明、副作用、飲み合わせの説明を受けます。処方される錠数は、患者本人の希望か医師の判断により決まります。

病院での待ち時間がめんどくさい・忙しくて時間がないから行けない

もしあなたが、院内での待ち時間が煩わしい、平日は仕事で忙しくて通院できないなど、「時間」を理由にED治療をためらっているなら、解消する方法は簡単です。

待ち時間をストレスに感じる方は、完全予約制の病院を利用しましょう。事前に予約しておくことで、病院を訪れたらすぐに診察を始められます。他の患者と顔を合わせて気まずくなることもありません。

平日は忙しくて時間が取れないという方には、土日診療や夜間診療を行うEDの専門クリニックをおすすめします。19時以降でも診療しているため、仕事帰りに立ち寄ることも可能です。

ED治療に関して「時間」を問題と感じているあなたには、前述のような診察時間に融通の利くED専門クリニックが最適でしょう。

診断結果が怖くて行けない

診断結果が怖くて行けないという方は、勇気を持って少しでも早く病院へ行き、専門医の指導のもと、的確な治療を受けるべきです。

EDの原因が、生活習慣病や動脈硬化といった、EDよりも深刻な病気の可能性もあります。ED治療が、重い病気の早期発見につながるかもしれません。今後の健康のためにも、受診は早めに行いましょう。

病院のED治療まとめ

あなたが抱えていた、ED治療に対する疑問や不安は解消されましたか?EDに悩む患者の多くは、世間に対する気恥ずかしさや、診察時間の制約などを手間に感じてしまい、なかなか病院へは行きません。

しかしED治療専門のクリニックは、あなたがイメージするよりも圧倒的に診察の手間が少なく、拍子抜けするほどスムーズにED治療薬が手に入ります。もし勃起不全の治療を疎かにしていたら、それだけEDの症状も悪化します。

生活習慣病や血管の病気を併発していないか確かめるためにも、EDの症状があらわれたらすぐに専門のクリニックで検査を受けてみましょう。

参考文献・参考サイト

EDは病院で治療?専門医院で治療?病院のメリットデメリットは、以下のサイトや資料を参考に作成しました。

  1. 参考書籍:男性機能を高める本 (精力減退は酵素不足が原因だった) / 鶴見隆史(2014年) / マキノ出版
  2. 参考:ED治療 処方までの流れ | 新橋ファーストクリニック
  3. 参考:セルフチェック|EDのセルフチェック(IIEF)|ファイザー
  4. 参考:ED治療体験レポート / EDネットクリニック
  5. 参考:ED診療ガイドライン / 日本性機能学会
  6. 参考:米ファイザー社、ED診断にCARTを活用 / 株式会社ヒューリンクス
  7. 参考資料:ED問診票 / 菊池クリニック:PDF
  8. 参考資料:ED患者の診察手順 EDの検査・診断・治療のイントロダクション / EDネットクリニック:PDF
  9. 参考資料:心因性EDの治療手順 / EDネットクリニック:PDF
  10. 参考資料:夜間陰茎勃起の計測、血管系検査 / EDネットクリニック:PDF
  11. 参考:勃起不全(ED)治療の保険適用について / 日本せきずい基金
  12. 参考:全体の約4割が「性器への触診」があると誤解 / バイエル薬品株式会社
  13. 参考書籍:ササッとわかる 男性機能の不安に答える本(P66) / 堀江重郎